精神神経系統の更年期症状

更年期におけるエストロゲンの減少は、精神神経系統にもさまざまな症状を引き起こすことになります。

エストロゲンは、感情や情動を制御する働きがあることから、これが減少することにより、精神的に不安定な状況を招くことがあるわけです。

また、エストロゲンの減少は、自律神経のコントロールも乱すことから、これが起因する場合もあります。

ここでは、精神神経系統の更年期症状についてみていくことにしましょう。

 

①頭痛

更年期になると、長期化する頭痛に悩まされることがあります。

頭痛を引き起こす要因は、多岐にわたるため、その根本原因を見極めるのは難し いものです。

たとえば、肩こりや首のこりなどを原因として頭痛が起きる場合があります。

また、冷え性が直接的な原因の片頭痛も考えられます。

さらには、血圧の上昇によって引き起こされる頭痛もあります。

激しい頭痛にみまわれたり、吐き気を伴うなどの場合は、くも膜下出血などの重い病気の初期症状も疑われるので、無理をせずしっかりとした検診を受けることが必要です。

 

②めまい . 立ちくらみ

更年期の女性に多く見られる症状態に、立ちくらみがあります。

急に立ち上がった際に軽いめまいを起こす症状です。

この症状は多くの場合一過性であることが少なくありません。

また、めまいは高血圧症が引き起こす場合もあります。

この他にも、身体がふらふらとする動揺性のめまいや、日がぐるぐると回る回転性のめまいなどさまざまですが、単に更年期という原因のみならず、めまいの場合は耳の病気が引き起こしていることもあります。

なお、加齢とともに身体のバランスを取る能力は徐々に低下するものです。

骨折などのリスクもあることから、自宅でも転倒などには十分に注意をしたいものです。

 

③不眠

更年期になってなかなか寝付けなくなったという方も多いようです。

また、寝ても短時間で目が覚めてしまったり、眠りがとても浅いことから、翌朝起きても疲労感が抜けずにスッキリとしないという方も少なくありません。

また、高齢期の場合は冷え性を原因とした不眠もあります。

不眠を改善するためには、日中に適度な運動をすることが効果的です。

また、夕食を早めにとり、お風呂でゆっくりと温まったなら、体が冷えないうちに床に就くことが 大切です。

また、眠る際にはできるだけ部屋の明かりを落とすことを心掛けます。

なお、最近では就寝前にスマートフォンなどを用いる人も増えているようです。

就寝前に目からの刺激を受けると、なかなか寝付けなくなったり深い眠りをえることができないなどの症状が出る場合があります。

就寝前のスマートフォンは控えた方が良いでしょう。

 

④精神的疾患

エストロゲンの減少は、感情のコントロールを乱してしまうことから、更年期には精神的にもさまざまな症状が現れます。

たとえば、ちょっとしたことでヒステリーを起こしたり、常にイライラとする、情緒が不安定で突然涙がでるなど、コミュニケーションにも支障をきたす場合があります。

また、不安感や恐怖感の増大や、無力感、倦怠感などを伴い、憂鬱な気分が続くこともあります。

この様に、更年期には精神的にもさまざまな変調をきたすものです。

一時的な症状であれば誰もが経験するものですが、長期に渡るものだったり、生活自体に支障をきたすようであれば、無理をせず、精神科医などの専門医を受診し、カウンセリングやお薬の処方を受けることが必要です。