治りにくい肩こりをどう防ぐ?

肩、首、背中、腕などの体の一部がこっているという症状は大変つらく、不快感を伴います。

このような症状は、一晩寝て治るようなら問題はありませんが、こりがひどくて寝つきが悪いとか、吐き気や目まいをもよおしたり、頭痛を起こしたりという場合は、放っておけません。

こりは、目からくることも多いので、急に症状がひどくなった場合は、視力や乱視の検査をする必要があります。

低血圧、高血圧、貧血、肝臓病などからもこりがひどくなることもありますが、「特別の病気はないけれど、若いときからこり症」という人は、食生活と運動不足、ストレスが原因といえます。

 

体のこりとは、その一部分の血行が悪くなり、疲労物質がたまって筋肉が硬くなっている状態です。

そこで、血行をよくするためにはビタミンEやB1、コエンザイムQ10、セレンなどが大事で、疲労物質の代謝を高めるには、B1とクエン酸、食物繊維を、筋肉の硬直を防ぐにはB1、B2、C、クエン酸などを多くとりましょう。

新鮮な野菜をたっぷりとることは、ビタミンCやビタミンB1をとるうえで大切です。

酢や果物、野菜はアルカリ性食品なので、体内の酸を中和し、新陳代謝を円滑にさせ、血行をよくし、こりを防ぎます。

ビタミンEは、小麦胚芽やアーモンドなどの種実類、魚卵、生うに、素干しさくらえび、ほたるいか、アボカド、ブロッコリー、かほちゃなどに豊富です。

 

目次

こり症の人は、積極的にビタミンB1を

こりのひどい人は、B1を積極的にとることが必要です。

主食はB1の少ない白米をひかえ、押し麦や玄米、豆ご飯などB1の多いものを。

パンの場合はライ麦や胚芽、全粒粉などのパンがよいでしょう。

真っ白いパンより黒いパン、うどんよりそばのほうが B1を多く含んでいます。

B1は吸収されにくいビタミンなので、その吸収を高めるアリシン、という物質と一緒にとるのがコツです。

アリシンは、にんにく、たまねぎ、ながねぎ、あさつき、わけぎ、にら、らっきょう、エシャロットなど、ユリ科の野菜に多く含まれています。

このアリシンとB1が結びつくと、血液中に長くとどまって作用し続けるので、体内で効率よく働いてくれるのです。

これらの野菜を、いろいろな料理にたっぷり加えるとよいでしょう。

そして、体内でB1の消費を高める砂糖や甘いお菓子、ソフトドリンクなどは、決してとりすぎないことです。

甘いお菓子が大好物の人ほど、こり症です。

 

すっぱいものが、こりを防ぐ

クエン酸も、疲労を取り除くために欠かせない成分です。

私たちが食べたものは、代謝されて最後にピルビン酸という物質になりますが、これを水と炭酸ガスに分解するのがクエン酸です。

したがって、クエン酸を充分にとる食事をしていれば、体内に燃えかすが残らず、疲労物質であるこりも少なくなります。

クエン酸は、レモン、ゆず、すだち、きんかん、グレープフルーツ、梅干し、酢などの酸味の成分です。

一日に梅干し一個と、酢やレモン汁を使った料理を2~3品とるようにしてください。

また、柑橘類を適度にとることによって、クエン酸の他ビタミンC、Pも補えます。

 

体のこりと緊張をときほぐす5つのエクササイズ

さて、こりを取り除くためには、食生活の注意だけでは完全ではありません。

筋肉が硬くなっている部分をほぐし、血流をよくするためには、運動が必要です。

 

そこで、今まで述べてきた食事面の改善に加えて、10分でも15分でもよいですから、次のような「こり予防体操」をしてください。

 

両脚を肩幅に開いてまっすぐ立ち、両手を思い切り上に上げ、ぐっと伸ばす。

次に大きく広げながら手をおろし、うしろで手を結び、つま先で立ち、首をうしろに倒し、肩を思い切りそらす。

この運動は、肩、背、首の血行をよくし、こりを取り除きます。

一回に三~五回を一日に何回かくり返します。

 

2

腰のこりを除く体操。

足を肩幅よりやや広げてしっかり立ち、床に手のひらがつくように腰をゆっくり五回曲げ、次にうしろに五回反ります。

次に手を伸ばし、腰を中心に、上半身を大きく回転させます。

右から三回、左から三回。

 

3

肩から腕のこりをとるためには、足をやや広げて楽な姿勢で立ち右手を下に向けてブラブラ前後に振ります。

 

脚のこりをとるためには、片脚でしっかり立ち、片方の脚を前方へ思い切り振ります。

次に後方へ振ります。

脚をかえて同じ要領で行ないます。

 

首のこりは1で紹介した運動で、かなりよくなりますが、とくにひどい場合は、脚をやや広げて楽に立ち、両手を背の腰の下で楽に結び、首を大きく左右にゆっくり回転させます。

次に前後へ倒す運動と左右に倒す運動を一〇回ずつゆっくり行ないます。

最後に両肩を上下へ、力を抜いて動かしてください。

 

 

とりわけ1、2、5の運動を一五分ぐらい行なうと、全身の血行がよくなり、イキイキとしてきます。体を動かすのがめんどうと思われる方も、せめて1の体操だけでも試してください。

不思議なほど、こりが解消されてきます。