塩辛いものが好きな人は太りやすい?
肥満している人の中には体に余分な水分が多くたまっているという人がある。
塩分の多い食事が好きで、塩辛い漬物や、辛子明太子、佃煮、塩辛といったものでご飯を食べているような場合、このような水膨れの肥満が起こりやすい。
これは、塩分が体の中に多くとどまることによって、それを薄めるために水分が体内に多くたまってしまうためである。
塩分は体内で、主として血液など細胞の外側にある液の中に多く含まれている。
体は、その塩分濃度が常に一定になるように働いている。
それは、細胞の内部にはカリウムを含んだ液があり、細胞の外の血液などに含まれるナトリウムとバランスをとっているからだ。
血液中の塩分濃度が高くなりすぎると、細胞内の水分が外へ吸い出される。
これは浸透圧の働きのためであるが、このようなことが起こると、細胞の活動が変調をきたす。
細胞内の水分が減り、水以外の成分が濃縮されるからだ。
そこで体の方は、細胞外部の血液などの塩分を薄めるために、多くの水分を体にためるのである。
その結果、体重は非常に重くなる。
このような水分過剰の肥満は、見たところぼってりとした感じである。
この場合、実質的に脂肪分は多くはなく、水分が多くたまっているだけであるから、これを体外へ出してしまうことが必要だ。
もし、そのままにしておけば、血液は非常に薄まっているので、貧血の状態と同じである。
しかも、動きにくいので、その結果、運動不足になり、脂肪肥満にもつながりやすい。
そこで、このような過剰な水分を体外へ出す方法として第一にあげられるのは、塩分の摂取を少なくするということである。
そのためには、塩味の薄い野菜料理をしっかりと食べることが大切である。
なぜなら野菜の中には、塩分排世を促すカリウムが多いからだ。
また、体内でタンパク質が分解した結果できる老廃物は、尿から排世されるので、タンパク質を十分とることによって尿の量を増やすことができる。
尿の量が多くなると、それに伴ってナトリウムも排世される。
このように食事に注意しながら2~3週間たつと、体内の余分な水分が抜けて、見違えるように体が締まってくる。
この間に体重が2キロ程度低下する場合もある。
ところで、このような水膨れの肥満は、夏などの暑い時期に起こりやすい。
それは、あっさりしたものがいいからと、麺類などをとることが多くなるからである。
意外と知られていないが、麺類にはかなりの塩分が含まれている。
口当たりがよいので塩味を感じないかもしれないが、うどんやそうめんをつくるときに、小麦粉のタンパク質を溶かし、ほぐしてさらにもつれさせ、ねばりを出すため、粉に、かなりの食塩を加えるのである。
また、麺つゆの中にもかなり塩分が含まれている。
一方、暑いと、野菜やタンパク質の多い食品は重たくしつこいからといって敬遠しがちになる。
また、食欲がないからと、朝食や昼食を抜いたり、少量ですませ、夕食にまとめて食べるような食生活をすると、水太りになりやすい。
鶏や豚の飼育では、この方法で皮下に厚い脂肪層をつけるが、筋肉には水分が過剰に含まれている。
これなども水太りの一例である。
夏中、このような食生活を続けると、秋口にはぼってりとした肥満状態ができあがる。
このような状態になると、血圧も上昇してくるので、夏太り、した人は、秋口に体重とともに血圧も調べたほうがよい。
余分な水分が体から抜けていけば、体重が減ると同時に血圧も下がっていくことが多い。
つまり、水膨れの状態の肥満を治すには、単なる減食ではなく、食生活全体から減塩をして水分を体の外へ出すことを考えなければならないのである。