処方義なしでも買える市販薬の使いすぎは、それ自体が頭痛の一因に。

頭痛、腰痛、肩こり、歯痛、スポーツ後の筋肉痛など、発端はどんな痛みでも同じ。

何らかのしつこい痛みを抑え込もうと、鎮痛薬をずるずる使い続けると、これが原因の薬物乱用頭痛を引き起こす。

「起床時から痛いので、出社前に薬を飲み、午前10時頃になって薬効が切れるとまた飲む。仕事最優先で、こうした悪循環に陥る人は意外に多いものです」。

 

医師に処方された鎮痛薬でも、市販薬でも、長期にわたって飲み続ければ、危険に変わりはない。

薬物乱用頭痛の下地となる条件が、できるのは、案外たやすい。

1回の服用量によらず鎮痛薬を飲んだ日が1か月に10日以上あり、そのような状態が3か月続けば、脳への感作が成立してしまう。

そうなると脳は痛みに対する感受性が増すので、ちょっとした痛みでも我慢できなくなって、つい薬を飲む。

飲むと治まるから、その差がまた頭痛時の痛みを際立たせる……

 

「麻薬や覚醒剤のような薬物とは違って、飲みすぎで人格が崩壊するようなことはありません。まず、薬を断つことですが、離脱期にはてんかんやうつ病の薬を処方するケースがあります。しかし、鎮痛薬をやめるという本人の強い自覚が第一です」

 

また、薬を乱用しなくても、日常生活の中、些細なことが原因で我々は頭痛を経験する。

例えば、激しいスポーツ後に決まって頭痛に苦しむ人がいる。

これは俗称・重量挙げ頭痛。

興奮がアドレナリンの分泌を促すのと血管の拡張が原因とされる。

興奮し、血管が拡張する点では実は性交も同じ。

実際に性行為の最中にひどい頭痛を覚える人もいる。

どちらも危険ではないが、不快感が強ければ事前に鎮痛薬を服用する。

 

数秒から数十秒しか続かないが、アイスピックで突かれたような強い痛みに、たびたび見舞われている人もいる。

専門用語では突発性穿刺様頭痛、俗称・アイスピック頭痛というが、これは原因が特定されていない。

特に危険なものではないが、気になるなら脳神経科を受診しよう。

 

せき、くしゃみ、いきみなども頭痛の引き金になりうるし、頭を強く圧迫したり、締め付けても起こることはある。

これは水中メガネ頭痛と呼び、メガネのツルがきつかったり、硬すぎる枕で寝た後にも起きる。

続くページで仕事中の姿勢に触れたが、日中、長時間を過ごすデスクと椅子、パソコンなどの環境も、軽視すると手痛いしっぺ返しを食らう。

ドライアイ、眼精疲労から生じる頭痛も怖いし、度の合っていないメガネやコンタクトレンズも頭痛の元。

自分に合った環境を工夫しよう。