魚嫌いな人ほど生活習慣病にかかりやすい
ひと昔前の日本人のタンパク源は、魚介類と豆類でした。
現在は肉類、乳卵類が中心になり、魚離れした食生活をしています。
欧米、とくにアメリカでは、心臓病が国民病といわれるほど深刻な問題ですが、今や日本人もそれに追いつこうというような、食生活になっています。
小さいときから、ハンバーグやフライドチキン、ステーキなどで育つと、成人になっても、肉類中心の食事になるのは当然。
アメリカ人のように心臓病が増えていくのは明らかです。
肉類は、タンパク源として大切な食品ですが、かたよったとり方をしていると、脂肪のバランスが非常に悪くなり、皮下脂肪の増加や肥満を招いて、動脈硬化を促進させ、心臓病をはじめ高脂血症を招き、血管の老化を早めます。
その理由は、肉類の脂肪には飽和脂肪酸が多く、この脂肪酸は体内でコレステロールを増やし、血液中の総コレステロールを高めるからです。
そして、悪玉のコレステロール(LDL)といわれる比重の小さい低比重リポタンパクを増やし、これ、肝臓のコレステロールを血管壁などへ運び、動脈硬化を招き、心筋梗塞や狭心症などを起こしやすくします。
一方、魚類の脂肪は、飽和脂肪酸のほかに、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサへキサエン酸)とよばれる高度な不飽和脂肪酸があります。
この脂肪酸は、植物油に多く含まれているリノール酸、αリノレン酸と同じように、血液中の総コレステロールを減らし、さらに善玉のコレステロール(HDL)を増やします。
善玉のコレステロールとは、比重の大きい高比重リポタンパクで、これは動脈壁などの末梢組織から、コレステロールをとり除き、肝臓へコレステロールを運び出し、動脈硬化を防ぎ、虚血性心疾患などを予防します。
またEPA、DHAは、血液の固まるのを防ぎます。
血液が固まりやすいのは、血液中の血小板の凝集力に関係がありますが、EPA、DHAは、体内で血小板の凝集力を弱める物質の原料になるのです。
これらの脂肪酸を多く含むのは、さば、いわし、さんま、あじ、かつおなどの魚です。
弾力のある血管とさらさらしたきれいな血液を保つことが生活習慣病の予防に有効に作用します。
魚をおいしく食べる方法
魚嫌いの理由には、生臭い、頭がある、骨がある、内臓がある、といろいろです。
魚は新しいものほど臭いも少なく、おいしいものです。
できるだけ、活きのいいものを求めましょう。
そして、すぐに下ごしらえして内臓など出してから冷蔵庫で保存すると鮮度が保てます。
やり方は、まず冷水でよく洗います。
洗えば洗うほど生臭さが消えます。
腹わたをとったらその部分をきれいに洗い、ぬれぶきんをかたく絞ったものでよく水気をふきとってから調理することです。
いわしのような魚でも 、7回洗えばたいの味、といわれるように臭味がなくなります。
煮魚にする場合は、臭いの強い魚は、しょうが、梅干し、酢などをいれると臭味が消えますし、酢を加えて煮ると、魚によっては骨までやわらかくなり食べられます。
このほかカレー粉やトマト・ケチャップ、サフラン、みそなどを加えた調理法も食欲を高めます。
魚の姿、形がいやな人は、すり身にしてのりや青じそで巻いて揚げたり、挽き肉やお豆腐と合わせハンパーグや、団子にしたり工夫してください。
淡白な白身の魚は、ごまをまぶして揚げたり、チーズをはさんでフライにすれば、若い人にも向く、こくのある料理になります。
また手作りで、みそ漬け、かす漬け、みりん干し、干物などにすると、市販のもののように添加物が入りませんから、鮮度のよいおいしいものになります。
魚は、一種類にかたよらないようにして、旬のものを中心に、いろいろな種類をとることが、バランスのよいとり方です。
ただし、養殖魚をあまりとりすぎないこと。
養殖魚の場合、種々の抗生物質が多く使われているものもあります。
薬づけになっている養殖魚は避けたいものです。