荒れを解消するには代謝に注目すべき。

悪いものをカラダに溜めないとお肌の状態も改善するからだ。

目を向けたいのは老廃物を外に出す排池と、有害物を無毒化する解毒のシステムの2つ。

その主役は血液とリンパを中心とする仕組み、なかでも排池と解毒を直接担当する肝臓と腎臓だ。

 

まずはメカニズムを知るのが大切。

体内に入った栄養素は太い血管を通って血液肝臓へ運ばれる。

肝臓では栄養素の代謝が進められる一方、有害物の解毒が行われる。

肝臓で有害物を除去した後、血液は心臓のポンプ機能で全身を巡る。

荣養を含む血液は各細胞に栄養素と酸素を運ぶ。

全身を巡る途中、血液は腎臓で老廃物や有害物を濾過して尿として排池。

代わりに細胞が排出した老廃物と二酸化炭素を受け取り、心臓へと戻る。

 

末端の毛細血管と細胞は直に接しておらず、毛細血管からしみ出た組織間液により、栄養素と酸素の供給、老廃物と二酸化炭素の回収が行われる。

また、この組織間液は免疫機能のあるリンパ球を多く含み、異物を攻撃。

リンパ管の要所にあるリンバ節も多くのリンパ球を含み、病んだリンパは浄化される。

綺麗になったリンバも最終的には静脈に合流して心臓へ戻る。

 

血液とリンパ以外で排池に関わるのは消化管。

その中核は大腸だ。

食べ物からの栄養の消化吸収は小腸までで終わり、大腸では残りカスから水分を再吸収して固い便を作る。

便には老廃物と有害物も含まれるから、毎日排便することが大切。

便が大腸内に滞ると一大事。

大便には100兆個ともいわれる腸内細菌が潜んでいる。

腸内細菌には悪さをする悪玉菌、良い働きをする善玉菌、どちらの作用もある日和見菌などたくさんの菌がいるが、便が滞ると悪玉菌によって腸内が腐敗。

有害物が再吸収される恐れもあるのだ。

 

肝臓、腎臓、大腸を中心とする排池と解毒をサーポートする手軽な方法は野菜の摂取量を増やすこと。

キーワードはポリフェノール、カリウム、そして食物繊維である。

ポリフェノールは植物の色素や苦味などの成分。

活性酸素の攻撃からカラダを守る抗酸化作用を持つ。

活性酸素が血管を攻撃すると、動脈が硬く厚くなる動脈硬化が進行。

血液とリンパの流れが悪くなり、肝臓や腎臓での解毒と排池が滞る。

ポリフェノールというと赤ワインが有名だが、野菜にも多くのポリフェノールが含まれる。

カリウムが大事なのは、ナトリウムの排池を助けてくれるから。

ナトリウムは血管の内皮細胞をなめし革のように硬くして動脈硬化を進めるうえに、レニンやアンジオテンシンといった血圧を上げるホルモンの分泌を増やして血圧を上げる。

どちらも血流を阻害して解毒と排池にブレーキをかける。

麺類のつゆを残す、加工食品を避けるといった工夫でナトリウムの摂取を減らしたいが、同時に行いたいのが野菜からのカリウムの摂取。

カリウムを摂ると腎臓から排池されるナトリウムが増える。

 

食物繊維とは、ヒトの消化酵素で分解されない食べ物に含まれる繊維質。

食物繊維の摂取は、便からの排池を妨げる便秘の解消に効果的。

水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があるが、このうち野菜に多いのは不溶性食物繊維。

水分を吸収して膨らみ、消化管を刺激して蠕動運動を活発にし、便通を促す。

加えて大腸内では善玉菌のエサとなるので、腸内環境を改善して便秘になりにくい態勢を整える。

この他、野菜には有害金属などを吸着して排出するキレート成分を含むものもある。

日々の生活に取り入れてもらいたい。

 

【タマネギ】

抗酸化作用に優れたクェルセチンを含む。

独特の刺激臭の元である硫化アリルには中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす働きも。

「水にさらすとせっかくの硫化アリルが溶け出します。薄くスライスし、かつお節とポン酢をかけると水にさらさなくても美味しく食べられます」。

高血圧の人にタマネギをオリーブオイルに浸した液を摂取させたところ、血液が流れやすくなったという報告も。

食物繊維 1.6g

カリウム 150mg

 

【トマト】

「トマトが赤くなると医者が青くなる」というけれど、その赤い色の成分がリコピンというポリフェノール。

抗酸化力が高い。トマトの水溶性成分は、肝臓でのアルコール代謝を助ける。

リコピンはトマトジュースの方が含有量が多いので、生とジュースを上手に使い分けたい。

トマトはカリウムの他、微量ミネラルのセレンも豊富。

セレンは、肝臓などで有害金属と合体して排池しやすくするキレート作用を持っている。

食物繊維 1.0 g

リコピン 3.0mg

カリウム 210mg

 

【ウコン】

鮮やかな黄色の元になっているのが、ポリフェノールの一種であるクルクミン。

抗酸化力が極めて高い。

そしてクルクミンは肝臓の解毒を助ける作用があり、有害物を腸管へと押し流す胆汁の分泌促進といった効果がある。

この他、ウコンにはカリウムや食物繊維も多い。

英語名はターメリック。

カレーの香辛料に含まれているので、カレーから摂るのもいい。

カレーはアルツハイマー病の予防に効くそうだが、それもクルクミンの働きである可能性が高いという。

 

【枝豆】

枝豆は大豆の未成熟豆。

大豆食品ではなく、緑黄色野菜に分類される。

その性質は大豆と野菜のいいとこ取り。

大豆にはないβカロテンやビタミンCはポリフェノールと同じように抗酸化作用がある。

「亜鉛が多く、有害物のキレート効果も期待できます」。

半分豆類のようなものなので、タンパク質が100g中11.7gとたくさん含まれており、栄養も満点。

苅でて粗塩を振って食べるのが一般的だが、減塩のために振り過ぎには注意

食物繊維 5.0mg

カリウム 590mg

Bカロテン 240μg

 

ジュース断食で、週末は気軽にファスティング

排池と解毒をより積極的に促進したいなら、試したいのはファスティング(断食療法)。

1日3食欠かさずに食べていると消化管にはつねに何か食べ物が入っている。

食べ物から栄養素を取り入れる消化吸収と不要なモノを体外に出す排池と解毒は同時に行われているが、運動不足&過食気味の現代人の大半は消化吸収優位型。

排池と解毒が追いつかなくなり、便秘や血行不良などが起こる。

断食すると消化吸収がひと休みしている間に排池と解毒が優位になり、便秘も解消して体内から老廃物がきれいに除去される。

ファスティングは遺伝子レベルでも排還と解毒をサポートする。

カロリーを30%以上制限すると細胞核に収められた長寿遺伝子サーチュインのスイッチが入り、飢餓を生き抜くために体内のさまざまな機能をレベルアップ。

その結果、腎臓と肝属の血流が良くなり排池と解毒がスムーズに進む。

断食を平日に強行するとエネルギー不足で仕事に身が入らない恐れもあるので、挑むなら週末。

いきなり絶食するのはハードルが高すぎるので、食事の代わりにジュースを飲むジュース断食からスタート。

「野菜や果物を利用したジュースなら空腹が紛れますし、水分と必要最低限のカロリーと栄養素が補えます」。