陰部がかゆくて、婦人科に行くのも恥ずかしいからと、かいてこじらせてしまうというケースをよく見かけます。
なかには、10年以上もかゆみに悩まされ、かき続けて、皮膚がかたくなってしまっているような場合もあります。
かゆみといっても原因はさまざまです。
まずは原因を知って正しく対処しましょう
目次
① GSM (加齢による膣と外陰部の萎縮。)
粘膜が薄くなって乾燥することでかゆみを起こします。
閉経後3年くらいたつと顕著になってくることが多く、女性ホルモンの膣剤やレーザー照射などの治療方法があります。
② 接触性皮膚炎
下着などで蒸れたりかぶれたりしたことによるなみ。
おりものシートも原因になります。
主にステロイド系の塗り薬を使いながら、皮膚への刺激を避けるよう、下着などに工夫が必要。
③ 脂漏性皮膚炎
毛が生える部分の皮膚がカサカサしてかーくなります。
食生活の乱れやストレスがきっかけのことが多い。
生活改善をしつつ、ステロイドなどの塗り薬で治療します。
④ カンジダ症
カンジダという真菌(カビのようなもの)が膣や外陰部に繁殖し、かゆみが出たり、ひどくなると白いカスのようなおりものが出ます。
⑤ トリコモナス膣炎
性行為で感染し、かゆみとともに黄色い泡のような、においのあるおりものが出ます。
疑わしい場合は、早めに婦人科受診を。
⑥ 毛じらみ
毛にシラミがすみついて繁殖するもの。
頭部の毛じらみは幼稚園などでときに集団感染しますが、陰部の毛じらみは主に性行為で感染します。
よく見ると毛に虫卵が付着しています。
スミスリンという薬剤が有効ですが、毛を剃ることでも駆除できます
⑦ 精神的な原因によるもの
ストレスなどで陰部にかゆみが出ることもあります。
⑧ 白板症、パジェット病などの特殊なケース
前がん病変という、がんに移行する可能性がある疾患。
はじめは湿疹のようなものが陰部に出現し、しだいに皮膚の色調が変化していきます。
陰部にかゆみがある場合、まずは婦人科を受診して、原因を調べましょう。
恥ずかしいからと長く放置することは禁物です。
感染症や前がん病変などでない場合は、塗り薬を使いながら、ひたすら根気よくケアをしていきます。
蒸れたりすれたりしないように下着を工夫することも大切です。
陰部のなみは下着などによる影響が大きいので、薬を塗るだけでなく、自分で下着も工夫しないとなおらないことがほとんどです。
生理のときの血液でかかゆくなる人は、タンポンを使って血液が皮膚に触れないようにすることも一案です。
ただし、タンポンはまめに換えないと、雑菌がついてかえってかゆくなることがあるので注意しましょう。
根気よく治療を続けることが大切
陰部にかゆみが出て、一度病院で塗り薬をもらって塗ったけれど、なおらないからと通院をやめてしまう人がいます。
すると結果的に長年ずっとひっかいてしまい、こじらせて非常に難治になることもあります。
陰部の皮膚は神経が敏感なので、かゆみを我慢することができず、寝ている間などに無意識にかいてしまうことが多いもの。
また、皮膚が薄くて弱い部分なので、かくと皮膚が傷んで、さらにかゆみを増し、なおりにくくなります。
感染症などでなければ、通院は婦人科でなく皮膚科でも大丈夫です。
皮膚科のほうがさまざまな塗り薬を使い分けられます。
なかなかなおらないからとあきらめたりせず、病院をかえて、いろいろな薬を試してみましょう。
またステロイド剤を嫌う人も多いですが、かき続けているかぎりなおらないものなので、かかない程度に薬を塗ったほうが賢明です。
放置して悪化させると、治療期間が長くなり、薬を塗る量も多くなってしまうからです。
むやみにステロイドを怖がるのではなく、皮膚科に通院しながら、薬の量をコントロールしてもらいましょう。