昨日までは何の異常もなかった。
なのに、今日はこめかみから目のあたりに激痛が走る。
心臓の拍動に合わせてズキンズキンと脈打つ痛みは半端ではなく、とてもじゃないが冷静に仕事などしていられない。
寝込んでしまう人も少なくない。
日本で約840万人を悩ますこの頭痛こそ、頭痛の代名詞、片頭痛。
群発頭痛が男性に多いのと対照的に、片頭痛は第二次性徴期以降の女性が男性の約4倍と多い。
これは日本に限らず、世界中どこの国でも見られる傾向だという。
痛みのメカニズムに女性ホルモンも関わっているらしいことを想像させるデータだ。
1か月に数回、痛みがやってくる人が多いのですが、数か月に1回や1年に1~2回しか痛まない、幸せな人もいます。
いったん始まると発作は4~72時間続きますが、普通はひと晩眠ると治まります。
3日以上続く、しつこい片頭痛は減多にありません。
何の前触れもなく始まることが圧倒的だが、2割足らずの人には前兆が認められるという。
代表的なものとしては閃輝暗点(せんきあんてん)が有名だ。
これは急に視界にキラキラとした光の粒子のようなもの(閃輝)が見え始め、やがてそれが視界いっぱいに広がると、ふさがれた部分は物が見えなくなる(暗点)現象。
これが20~30分続き、終わると激痛に襲われる人が多い。
なぜ、人類がこんな痛みを抱え込むハメになったのか、いまだ原因は確定されていない。
かつては痛みの多発箇所がこめかみであることから、こめかみを走る太い血管=浅側頭動脈が何らかの原因で急激に拡張炎症を生じ、そばを通る三叉神経を刺激することが原因とされた。
浅側頭動脈
興奮·激怒ばかりルていてはいずれ片頭痛持ちに?頭が痛いといっても、脳に痛みを感じる神経はない。血管が拡張するといっても、脳を走る毛細血管は微細すぎて原因とは考えにくい。ただし激品すると浮き出す、こめかみの太い血管=浅側頭動脈は古くから片頭痛との関係を疑われてきた。
だが、いまでは論理の順序が逆転した三叉神経血管説がメジャーになりつつある。
これは、脳の硬膜の血管周囲に存在する三叉神経になんらかの刺激が作用し、血管作動性のニューロペブチドが離れた存在となると、それが血管の拡張を起こし、三叉神経を刺激し、痛みを感じるという説である。
脳の一部に刺激が加わるとその部分の脳機能の低下が生じ、それが周囲に伝わり広まる現象が、先ほど触れた閃輝暗点と考えられます。
日本人はこの幻覚を見る程度で済んでいますが、血管が収縮しすぎて、脳梗塞や半身麻卿を引き起こした病状が非常に重い例が海外では報告されています。
それが原因なのか結果なのか、いまだはっきりしないが、血管の拡張収縮が深く関わっているので、これに影響するような行為、環境、物質は片頭痛の引き金になる。
例えば、楽しみにしていた休日を迎えた途端、朝から激痛で動けない、などという気の毒な人がいる。
これは休日にリラックスし、ほっと気が緩んで血管が拡張したことが一因。
同じ理由で寒い冬が終わり、春を迎えた頃とか、温かな湯に長々と浸かっている最中にもよく起こる。
当たり前ですが、痛みのあるときにスポーツをすれば症状を悪化させますし、飲酒も同じ。
赤ワインに反応する人もいるようです。
睡眠不足が片頭痛を招くのは、誰しも一度や二度は経験しているだろう。
だが、日頃の睡眠不足の帳尻を合わせようと、週末に寝だめを試みると、それが原因となって片頭痛を招くことがあるからご用心!
また、朝食抜きも一因になりうる。低血糖が脳に強く影響するからだろう。当然、行きすぎたダイエットも片頭痛の元だ。
光も脳への刺激になる。不安ならサングラスを携行しよう。どうやら健康的で穏やか、規則正しい生活が片頭痛を遠ざける基本のようだ。