高血圧は遺伝です!今の食事は大丈夫ですか?
身近な食べ物で病気を防ぐ見直しをしてみませんか?
まずは血圧のチェックをしてみてください!
世界保健機関 (WHO)では、正常な血圧数値は最大血圧が139ミリ以下、最小血圧が89ミリ以下とされ、高血圧症は最大血圧140ミリ以上、最小血圧90ミリ以上で、どちらか一方が正常値を超えれば高血圧症です。
高血圧の体質は遺伝するといわれています。
両親とも血圧が高くない場合に、血圧の高い子供が生まれる率を一とすると、片親だけが高いと二倍になり、両親ともに血圧が高いと三倍になるというデータがあります。
家系に高血圧の人が多い場合は、子供のころから高血圧にならないための食事を習慣づけることが大事です。
目次
血圧が高いと心臓と血管に負担がかかるので要注意!
なぜ血圧が高いと健康によくないのでしょう。
大きく分けて次の二つの理由が挙げられます。
理由①
血圧が高いと全身の血管の傷みが早く起こり、動脈硬化を起こしやすくなります。
動脈硬化が起こると、コレステロールが血管内壁にたまり、動脈の内側を狭くするばかりでなく、傷んだ場所で血液が凝固して血栓をつくり、最終的に動脈が閉塞されてしまう危険があります。
この状態が脳の動脈に起これば、脳梗塞などの重篤(じゅうとく:非常に重く,生命に危険が及ぶ症状)な症状を起こしかねません。
また、心臓の筋肉へ血液を供給する冠状動脈に閉塞が起こると、狭心症や心筋梗塞を起こします。
なお、血圧が高いと、常に高い圧力に打ち勝って心臓が血液を押し出さなければならないため、左心室の負担が増すことになります。
この負担に耐えるために、左心室は肥大を起こしますがそれでも耐えきれなくなると、心不全を招く可能性があります。
理由②
高血圧の第二の害は、脳に知らず知らずに動脈瘤ができている場合、血管が圧力に耐えきれず、破れてクモ膜下出血を起こすことです。
また、脳の細動脈硬化が進んでいる場合も、やはり高い血圧に耐えきれなくなり、血管が破れて脳血管疾患が起こります。
たとえば、脳梗塞を起こす率を、正常な血圧の人と比べると、最大血圧が140~159ミリでは、最大血圧139ミリ以下の人に比べて4~5倍、160~199ミリの場合は8~9倍、200ミリ以上では13倍にもなります。
血圧の高い人は、一見顔色もよく、行動的でスタミナあふれる活動的な人が多いのですが、目に見えない血管や心臓の老化がすすんでいるのです。
最大血圧、最小血圧を正常範囲に保つことは、健康な老後を迎えるために、とても大事なことです。
血圧と塩分の関係~減塩しなければならない理由
血圧の高い人が、まず第一に心がけたいことは減塩です。
血圧と塩の関係ほど密接なものはなく、塩の摂取量が極端に少ない国には、高血圧患者は皆無といえます。
たとえば、南太平洋に住む原住民や北極に近いグリーンランドのイヌイットは、塩の摂取量は1日1.4~2グラム程度。
高血圧の症状を持つ人は見られず、年をとっても血圧が上がることはないそうです。
しかし、彼らが移住して、食塩の多い食事をしだすと、たちまち血圧は上がるそうです。
血圧は気候に関係なく、寒冷地に住んでいても、塩のとり方が少なければ、決して高血圧にはなりません。
北国に高血圧や脳卒中が多いのは、寒さが原因というより、塩の摂取量が多いためです。
さて、1日の塩の摂取量ですが、血圧が正常な場合でも、食塩のとりすぎは血管をいため、動脈硬化を促進させるので10グラム以下が望ましいのです。
血圧がやや高めか、あるいは現在は高くなくても、家系的に高血土の場合は8グラム以下にしたいものです。
高血圧症の場合は5グラム以下に。
高血圧ぎみの人は平均して、一日6~7グラムの食塩量にすることが望ましいでしょう。
1日6~7グラムにするためには、かなりうす味に慣れることが必要です。
① めん類の汁は3口以上とらない
② 漬け物、千物類にはしょうゆをかけない。これらの食品はとりすぎない
③ 揚げ物はソースよりレモン汁など、柑橘類の風味で
④ 梅干しは一昼夜水に浸し、塩抜きして、調味料の代用に
⑤ 練り製品、燻製、佃煮、スナック菓子、せんべい類、インスタントラーメン類は塩分が多いので注意を
⑥ サラダは塩抜きで、香辛料やレモン、酢の味で食べる
6~7グラムの食塩を料理に均等に使うとすべての味がボケてしまうので、一品にやや濃い味をつけると味にメリハリがつき、おいしく食べられます。
そして、生野菜は塩なしで食べるようにすると、野菜のカリウムが体内のナトリウムの排泄を高めます。
スイカも塩なしで召し上がってください。
血圧降下剤の服用で血圧が正常になっている場合でも減塩は必要なので、一日7~8グラムを守ってください。
高血圧の根本からの体質改善は、このようにしてまず、減塩からはじめてください。
血管の老化を早める脂肪、予防する油
動物性脂肪は、塩と高血圧ほどダイレクトな関係ではありませんが、とりすぎると血中のコレステロールを増やしてしまうマイナス面があります。
血圧が高く、コレステロールが多いと一段と血管の老化を早め、脳動脈や冠状動脈の硬化がすすんで物忘れをしやすくなり、また死亡する率が高まることが多くのデータから証明されています。
さらに血液を凝固しやすくする作用があるので、血栓のリスクが増し、脳梗塞や心筋梗塞を招きます。
また肥満を招きやすく、その結果、心臓の負担を増加させます。
バター、ラード、生クリーム、ショートニング、肉類の脂肉、高脂肪の魚類をひかえ、植物性脂肪を多くとるようにしてください。
とくに、動物性のタンパク質食品と動物性脂肪を組み合わせたとり方は、血管の老化に拍車をかけることになります。
たとえば、脂のしたたるステーキにバターを落としたり、卵とベーコン、ハム、バターの組み合わせ、魚介類のバター焼き、生クリーム、卵、バターたっぷりのケーキ、ラードで揚げたとんかつ、バター、生クリーム、チーズをたっぷり使った肉、魚料理などです。
血管の硬化を防ぎ、弾力性のある若々しい血管を保つには、動物性食品の調理には鮮度のよいごま油、紅花油、大豆油、歴芽油、オリーブ油などの植物油を使うことです。
植物油からビタミンEと必須脂肪酸をバランスよくとることが、血管の老化予防に大事なことです。
食卓にビタミンC、Pを絶やさないコツ
血圧が高いと、常に血管に強い圧力がかかるので、血圧の低い人よりも血管が傷みやすくなります。
そこで、血管の強化と弾性を保つために、ビタミンC、Pを豊富にとるようにしましょう。
ビタミンCは、新鮮な野菜をジュース、サラダ、油妙め、おひたしなどにしてたっぷりとってください。
また、いも類には熱に強いCがあるので、ふかしたじゃがいもやさつまいもなどを、ときには主食にして、とることをおすすめします。
ビタミンPは、きんかんの皮やゆずの皮、そば粉、グリーンアスパラガスなどに多く含まれています。
柑橘類の汁にも多少含まれているので、レモンやすだち、ゆず、かほすなどの汁をいろいろな料理に利用してください。
これらの果実の香りや酸味は、減塩にも役立ちます。
三度の食事に野菜料理をたっぷりつけ、旬の柑橘類をとるようにしてください。
血圧の高めの人が身につけたい自己管理
血圧の高い人は、低い人よりも元気がいいので、とかく無理をしがちです。
少々寝不足が続いても朝の目ざめがつらいと感じることも少なく、がんばり抜いてしまうため、心筋梗塞やクモ膜下出血を起こして、突然死という恐ろしい事態にもなりかねません。
休息は人間の生理的な摂理ですから、疲れたという自覚症状がなくても上手に休息をとることは、息切れせず元気に働くためにもぜひ必要です。
また、血圧は変動するもので、1日のうちでも、季節によっても変わります。
とくに冬に高くなるので、寒くなるにつれ減塩をさらに心がけ、健康管理をしっかりしましょう。
気候だけではなく、精神的なストレスも、血圧を上げる大きな要因です。
あまりイライラしたり、くよくよするようなときは、カルシウム、ビタミンB、Cの豊富な食事を心がけ、睡眠を充分にとりましょう。