イモ好きの人は太らない
現代人が食べるイモ類の量は、以前にくらべて大変少なくなっている。
イモを食べると太るのではないかと考えている人もあるようだが、これは大きな間違いである。
日常よく食べられるジャガイモやサツマイモ、サトイモには、それぞれ優れた栄養素があるし、そもそも普通の人は肥満につながるほどの量は食べられないものだから、安心して料理に活用することである。
イモ類の成分に共通していることは、食物繊維が多く、ミネラルではカリウムが多いことである。
これらはいずれも、血圧に対して抑制的に働くから、塩分の多い傾向のある日本の料理には都合のよいものだ。
食物繊維は、1日に20~25グラム程度とるようにすすめられているが、実際には最近の平均的な日本人の食生活では、16グラム程度しかとれていないそうだ。
その原因として穀物を食べる量が激減していることと、イモ類の摂取量が下がったことが大きいといわれる。
サツマイモを食べるとガスが多く出るといわれるが、これは、食物繊維の摂取量が多いと腸内で乳酸菌の繁殖が盛んになり、その結果ガスが多くなるからなのである。
しかし、こういった状態のガスは、ほとんど匂いがしない。
逆に、食物繊維のとり方が少なく、肉などのタンパク質性の食品を多く食べた場合は、腸内の腐敗菌の繁殖が盛んになるので、ガスの量は少ないが、非常に強い匂いのものが出る。
なお、乳酸菌の繁殖は、発ガン物質の生成を抑制するから、健康の点でも好ましい。
また、イモ類に多く含まれるカリウムは、余分に吸収した塩分を排世し、塩分のとりすぎによる血圧の上昇を予防することができる。
カリウムは、一般の食事で摂取する量の倍程度しっておくと、かなりの高血圧が防止できるようである。
その点でも、イモ類は絶好のカリウム補給源であり、高血圧予防ができる食品でもある。
さらに、意外なのが、イモ類に含まれるビタミンCの量である。
中程度のサツマイモー本には、食べられる部分だけで中程度の夏みかん一個と同程度のビタミンCが含まれている。
ジャガイモやサトイモのビタミンC含有量は、サッマイモの半分程度であるが、それでもかなりの量である。
市販されている野菜は一般に、収穫後の時間経過が長いので、ビタミンCはだんだん減少してくる。
しかし、イモ類は保存してもビタミンCの減少はほとんどないし加熱調理による損失も非常に少ない。
その他、サツマイモには、ヤラピンと呼ばれる緩下剤的な働きをする物質が含まれていてこれが食物繊維とともに働いて、便通をよくする。
便通がよくなると、排世が促されるので余分な吸収がなくなり、脂肪がたまりにくくなる。
また、便秘は高血圧や大腸ガンの原因にもなるので、便通をよくしてくれる食べ物は大切にしなければならない。
また、ジャガイモやサトイモは、ご飯と同じ重量でカロリーは約半分と、ダイエットの強い味方である。
ただし、ポテトチップス、フライドポテトなどは油分が多く、したがってエネルギーも高いから、多く食べることは控え、粉ふきいもや薄味の煮物にすればよいだろう。