寝つきが悪い、睡眠が浅く熟睡感がない、などに悩む人が増えています。

なかには睡眠薬を使っている人もいますが、薬に頼る前に、生活を見直してみましょう。

 

まず知るべきこととして、寝ようと思って電気を消してもすぐに眠れないことは、異常ではありません。

人の体調は、

自分では気づかないことも含めて、いろいろなことから影響を受けています。

食べたいときに食べたいだけ食べられなくても病気ではないのと同じように、眠りたいときに眠りたいだけ眠れなくても、それが問題とはいえないのです。

 

眠れないことを気にしすぎて、不眠恐怖症になり、不安感からさらに眠れなくなるという悪循環に陥る人がいます。

まずは、気にしすぎないことから始めましょう。

 

たとえばある日、食事時間になってもなぜか食欲がなかったとします。

しかし今食べなくてもすぐにどうということはないのですから、みなさんはおそらく軽く食べてすませて、次の食事か翌日にでもきちんと食べればいい、と考えるでしょう。

睡眠も同じで、今日熟睡できなくても、その分、次の日には疲れて眠くなるはずなので、それを待てばいいのです。

 

まして、体を動かさなければ食欲がわかないのと同じで、動かなければ眠くならないこともあります。

みなさんは、エネルギーを使わない生活をしているときに、無理やり胃薬を飲んででも1日3回たっぷり食べようとは思わないでしょう。

それと同じで、眠くならないような生活をしているのに、無理やり薬を飲んでまで眠らなくてもいいのです。

 

毎日フルタイムで働いているのに、夜になっても寝つけない、という人もいます。

現代人の生活は、眠れなくなる要素があふれているからです。

パソコンやスマホなどの光る画面を見ることが、脳を刺激して眠れなくなる、という話は、最近、広まりつつあります。

聞いてはいるけれど、実際それらから離れることができないという人が多いようです。

 

人間は、日の出とともに起きて日暮れとともに眠るという生活を、人類史が始まったときから400万年も続けてきました。

その生活に適応するため、脳には太陽とともに動く体内時計が存在します。

目から日の光を受けると、朝がきたことを脳が感知して、一日の行動に備えたホルモン分泌が始まります。

自律神経も交感神経にシフトし、頭がきりっと冴えてきます。

そして朝日を受けたときから14時間たつと、体の中では寝る準備が自然に始まります。

つまり朝7時に起きたとすると、夜9時には睡眠準備が始まることになります。

夜の10時から2時が睡眠のゴールデンタイムといわれるのはこのためで、この時間帯に成長ホルモンが最も多く分泌され、新陳代謝が行われます。

光る画面を見るたびに、脳は朝と勘違いするので、日に何度もスマホをのぞくだけで、体内時計はめちゃくちゃになります。

これでは夜になって眠れなくても当然です。

日に何度も間食をすれば、夕食時間になってもおなかがすかないのと同じことです。

体内時計も現代社会に合わせてバージョンアップしてくれればいいのですが残念ながら、そう都合よくはいきません。

IT社会になったのはここ20年ほどの話なので、体内時計は残念ながら400万年の流れのまま、朝と夜のリズムを刻んでいます。

人間がその体内時計に逆らうことはかなり困難で、睡眠薬で無理やりコントロールしたりすれば、必ず脳や神経に負担がかかります。

光る画面を見る時間を、自分で制限しましょう。

特に、寝る2時間前からは見ないこと。

パソコン画面よりもスマホのほうが画面は明るく、脳への弊害はさらに大きくなります。

 

休みの日でも、遅寝はほどほどに。

人間は、無理やり寝ることはできなくても、無理やり起きることはできます。

眠れない人はまず、起きることから始めるのです。

起きてから14時間後に体内の睡眠準備が始まるので、たとえば午前10時に起きると、睡眠準備は午前0時から始まり、眠くなるのは午前1時か2時ごろ。

それでは休み明けにかえって疲れを残してしまいます。

日ごろ寝不足で、休日にどうしてもとり戻したい人は、昼寝をしましょう。

朝は8時ごろまでに1度起きて、午前中になるべく動くようにし、午後に1時間くらい昼寝をしましょう。

その際もベッドでなく、ソファなどで仮眠をするように。

そのほうが起きやすいからです。

 

寝酒をするという人もいますが、アルコールは一瞬眠くなっても、体内で分解されると覚醒物質に変わるので、睡眠の質がかえって低下します。

飲酒すると、明け方に目が覚めたりするのはそのためです。

不眠に悩む人はアルコールは控えたほうがよいのです。

タバコももちろん脳を興奮させ、不眠の原因になります。

 

しかし実際は、眠れないと訴える人でも、脳波をとってみると本人が思っているよりも眠っている人がほとんどです。

眠れないことを気にせず、暗くして横になっていればいいのです。

パソコンやスマホの見すぎ、運動不足、寝不足と寝だめという不規則な生活、これらが働く世代の不眠の原因の大半を占めます。

このような原因が生活の中にあるのに、それを改善しないで睡眠薬で眠ろうとすることは間違いです。