食べたものを「きっちり消化する」コツ

「若いころに比べたら、食がだいぶ落ちた」

40代になると、多くの人がこんな実感を持つようになります。

食べたものを消化吸収するためには、胃酸と「消化酵素」の両方が分泌されることが必要です。

どちらも加齢とともに、分泌量が低下します。

これが「食が落ちた」原因です。

 

とくに消化酵素の分泌量低下は、消化がうまくいかなくなることで、栄養素の吸収が十分にできなくなってしまいます。

それだけではなく、体から若さを奪い、体を弱くしてしまいます。

酵素には、消化酵素のほかに「代謝酵素」があります。

代謝酵素は免疫力や自然治癒力、新陳代謝の働きを持つ酵素。

これが不足すると、かぜをはじめさまざまな病気にかかりやすくなります。

 

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この代謝酵素の生産に、消化酵素が大きくかかわっています。

消化酵素が消費されると、その分、代謝酵素がつくられなくなってしまうのです。

しかも、一生のうちに人間の体が生産できる消化酵素の量は、決まっています。

ということは、消化酵素をたっぷり必要とするような食べ方をするのか、それとも少しずつ長く大事に消化酵素を使う食べ方をするかが、「老けない体」をつくれるかどうかを左右することになります。

 

このように、食生活では消化酵素をムダ使いしない食べ方、言い換えれば、「消化器に負担をかけない食べ方」を心がけますが、分泌量の低下を少しでも補うために食材からとり入れる必要があります。

食べ物は加熱するほど、消化に時間がかかります。

加熱すると、食べ物そのものに含まれる消化酵素が失われるのです。

消化酵素は生の肉、魚、野菜などからしか補給できません。

肉は冷蔵庫から外に出して生のまま放っておくと、だんだん色が黒ずんできます。

自壊作用といって、肉そのものに含まれる消化酵素の働きによります。

肉の細胞に含まれる酵素が、肉自体を消化しているのです。

このように、生ものには消化酵素が含まれています。

 

ところが、よく焼いた肉だと、お皿にしばらく置いていても変化がありません。

加熱することで消化酵素がなくなって、自壊作用が進まないからです。

肉は、生より焼肉のほうがおいしいし食べやすいのですが、酵素の働きを考えると、消化器にかなりの負担をかけます。

焼肉店に行くと、大量のつけ合わせの生野菜や発酵食品のキムチが、どんと目の前に出てきます。

生野菜、キムチが消化を助けてくれるのです。

発酵食品には、消化酵素だけでなく、腸内環境を整える乳酸菌もたっぷり含まれています。

「焼き肉の箸やすめにキムチ」というのは、じつに理にかなった食べ方なのです。

また、消化酵素をムダ使いしないためには、食事は動けなくなるほどの満腹になるまで食べないことが肝心です。

また、発酵食品、生野菜が食卓の常連になることも大事です。

ときおり、献立に魚の刺身も加えます。

満腹は消化酵素のムダ使いであるとともに、活性酸素を大量に発生させます。

摂取カロリーが多いほど、その消化のために活性酸素が多く生まれます。

 

活性酸素は老化の原因となります。

つまり、食べすぎるほどに老化が早まり、寿命が短くなるのです。

現に、さまざまな動物実験の結果、摂取カロリーが低いほど、つまり満腹でないほど寿命が延びることが報告されています。

腹八分目は、昔から伝えられる常識ですが、この常識を心がけたい理由がわかっていただけたでしょう。

食事に最低20分かけて、とにかくよく食べ物を噛み、満腹中枢からの「満腹のサイン」を早く受けとります。

こうして、体を腹八分目に慣らしていきます。

腹八分目は、日本人の食生活に根づいた「アンチエイジングの最良の知恵」、と言っていいでしょう。

外から消化酵素を補う。

体内の消化酵素をムダ使いしない。

この二つの合わせワザで、あなたの体はぐっと「ずっと若い体」に近づきます。

 

 

 

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