「油は体に悪い」 なんて真っ赤なウソ
「健康のために、油っこいものは控えめに・・・」よく聞く言葉ですね。
このようにいわれてきた理由は、油脂はカロリーが高いからでしょう。
飽食といわれる現代になって、人は、肥満に起因する生活習慣病に脅かされるようになりました。
そこで、カロリーが高いというだけで、「肥満につながるから健康に悪い」「だから、なるべくとらないほうがいい」と、まるで生活習慣病の元凶であるかのように、油脂は健康の敵とされてきてしまったのです。
とくにエネルギー消費量が減る中高年になると、「油の摂取は極力、控えること」と医師にたびたび注意されている方も多いのではないでしょうか。
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「油脂が健康に悪い」とは、とんだ濡れ衣です
脂質が体内で分解された後、どれほど重要な役割を果たしているかを知れば、油脂全般を忌み嫌うことなど、できなくなるでしょう。
まず、脂質は体の重要なエネルギーになります。
これに加えて、脂質は細胞膜の材料にもなります。
細胞は、いうまでもなく、私たちの体のもっとも基本的な「部品」。
およそ60兆個にも及ぶ細胞がつくられなければ、私たちの体は存在すらできません。
さらに脂質は、脂溶性ビタミンであるビタミンA、E、D、Kや、鉄分といった一部のミネラルなど、栄養素の吸収を助けるのです。
脂溶性ビタミンとは、読んで字のごとく「油に溶けるビタミン」です。
たとえばニンジンに含まれるベータカロテン(ビタミンA)は、妙めたり、オイルの入ったドレッシングと一緒にとったりすると、より吸収がよくなるのです。
このように、油脂は、私たちの体を動かすうえでも、体そのものをつくるうえでも、さらには重要な栄養素をとり込むためにも、欠かせないものだということです。
もちろん、油脂をとりすぎれば肥満につながります。
肥満からさまざまな生活習慣病を招くことも事実です。
一番大切なのは、いい油を、適量とること
普段、油脂をとりすぎているのなら減らす必要はありますが、それ以上に注意深く考えなくてはいけないのは、「どんな油をとるか」なのです。
油脂を健康に役立てるには、「じゃあ、油を使う料理は食べないようにしよう」ではなく、「じゃあ、使う油を見直そう」「いい脂質を、適量とろう」という発想が必要です。
そうでなければ、健康長寿はかないません。