女性ホルモンの減少で不調が起きる
加齢によって臓器は老化し、機能がおとろえます。
女性特有の臓器、卵巣も例外ではありません。
卵巣の働きがおとろえ、卵巣から分泌している女性ホルモンの量が徐々に減ると、月経の周期が乱れ出します。
28日前後の周期でめぐっていた月経の周期が短くなったり(頻発月経)、逆に二ヵ月に一回、半年に一回と周期が長くなること(稀発月経)もあります。
周期が短くなったことで、「若返ったのでは?」と勘違いする人もいますが、40歳からの頻発月経は、卵巣の機能が低下しはじめたことにより排卵が早まったことなどの原因で生じ、閉経を意識すべき兆しであると覚えておいてください。
このように周期が不規則になりながら、やがて月経がこなくなります(閉経)。
日本人の閉経の平均年齢は、49.5プラスマイナス3.5歳で、中央値は50.5歳といわれています。
また、ホルモンも不調に影響を与えます。
ホルモンとは、ギリシア語で「刺激する」という意味です。
脳からの指令を伝える命令系統のうち、内分泌系の命令を伝達する物質のことを指し、環境や体調の変化にカラダをうまく順応させる役割があります。
成長ホルモン、副腎皮質ホルモンなど、現在わかっているだけでも70種類以上あり、なかには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という、女性特有のホルモンもあります。
ホルモンの働きは脳の視床下部というところでコントロールされているのですが、ときにはその働きが乱れることもあります。
たとえば、過度のストレスを受けて女性ホルモンのバランスが崩れると、生理不順になったり、男性特有の身体現象であるヒゲがはえるといったことも起こります。
特に、40歳からの女性については、女性ホルモンのうち「女性らしさ」をつくるエストロゲンが加齢によって減少しだすと、まずは、汗をかきやすくなったり、冷えやのぼせ(ホットフラッシュ)、めまい、寒気、動怪などの不調を訴えるようになります。
これらは、自律神経という、自分の意志に関係なく、呼吸や心拍、循環、消化など、生命を維持するために必要な働きをもつ神経にかかわる不調です。
人間には「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」という、カラダ自身が恒常性(バランス)を保つように働く仕組みがもともと備わっていて、ホルモンのバランスや自律神経の働きなども、ホメオスタシスによってコントロールされています。
そして、ホルモンや自律神経の働きはお互いに影響を及ぼしあっています。
このため、ホルモンバランスが崩れると前述のような自律神経にかかわる不調が起きることになります。
その後、倦怠感や不安、憂うつ、不眠といったココロに関係する症状があらわれます。
さらに、骨量の減少や肌の乾燥、腔の乾燥や粘膜の萎縮などが徐々に進み、これらの症状は閉経後に顕著になっていきます。
健康診断などで高脂血症(脂質異常症)あるいは高血圧、動脈硬化と診断されてしまうのも、エストロゲンの減少によるところが大きいのです。
コレステロールをため込みやすくもなり、コレステロール値が高くなるだけでなく、太りやすくなります。