最近、骨粗鬆症が問題になっている。

骨粗鬆症とは、骨の中のカルシウムが抜けて、骨がすかすかになってしまう状態である。

こうなると、骨折してもなかなか元には戻らない。

骨折した部分にかすがいを入れて結合しても、骨がすかすかであるために、なかなかくっつかないからだ。

骨粗鬆症は、とくに女性に多く、閉経期が訪れる熟年以降に急速に進行することが分かっている。

その原因は、女性ホルモンの分泌と大きな関係がある

 

骨粗鬆症の予防法としては、十分にカルシウムをとることが必要だが、若いうちにカルシウムの摂取が十分でなかった場合、女性は出産などでも多量にカルシウムを失うため、骨の中のカルシウムの蓄積は不足する。

カルシウムの蓄積は35歳ぐらいまで行なわれるがそれ以後は、カルシウムをいくら多くとっても、しだいに骨から抜けていくからだ。

もちろん、カルシウムの摂取量が多い方が抜け方は少ない。

とはいえ、骨からカルシウムが抜けていくことには違いない。

 

では、骨粗鬆症を防ぐにはどういう手立てがあるだろうか。

以前はほとんど打つ手がなかったが、最近、活性ビタミンDを投与することでカルシウムの抜け方の進行をくいとめることができるということが判明した。

活性ビタミンDは薬剤としてもつくられているが、人体ではビタミンDが肝臓で活性化され、活性ビタミンDに変化する。

したがって、ビタミンDの多い食品を十分とればよい。

その代表的なものとしては、サケ、ニシンといった北の海の魚がある。

 

また、キノコ類にもビタミンDは多いが、人工乾燥のものにはほとんどない。

以前、干しシイタケにはビタミンDが多いといわれていたが、人工乾燥の干しシイタケは、太陽の紫外線を受けないからビタミンDはつくられない。

また、シイタケを食べて日光浴をすれば本内でビタミンDがつくられるとされていたがこれも聞違いであることが分かった。

キノコ頓に含まれているエルゴステロールというビタミンDの前駆物質は、そのまま食物からとっても体内で吸収されないし、また、吸収された

としても、紫外線に当たることで体内でビタミンDに変化するようなことはないのである。

なお、人工乾燥の干しシイタケを太陽光線に当ててもビタミンDはできない。

もし、ビタミンDの多いシイタケが欲しければ、生シイタケを買ってきて、自分で直射日光に当てて乾燥させることだ。

 

一方、キクラゲは日光乾燥が主流であるためビタミンDが非常に豊富である。

したがって骨粗鬆症の予防には、カルシウム食品と一緒に、サケ、ニシンのような魚とか、キクラゲなど日光で乾燥したキノコ類を食べることが大きく役立つのである。

 

ついでの話だが、シイタケは、動脈硬化を防ぐともいわれている。

宮崎県や大分県の人たちは、シイタケをよく食べるから長寿だともいわれてきた。

それでは、シイタケにはどのような成分が含まれているのだろうか。

まず、あげられるのはエリタデニンと呼ばれる物質である。

エリタデニンはシイタケ特有の成分で、血液中の余分なコレステロールを腸内へ排出する働きをもつ。

つまり、過剰のコレステロールが血液中にあるとき、それを正常化するということだ。

また、シイタケは、免疫性の抗ガン作用をもつレンチナンと呼ばれる物質も含んでいる。

レンチナンは、実際に免疫性抗ガン剤として認可され、薬として使用されている。

このような抗ガン性の物質は、シイタケ以外にもキノコ類に広く含まれているようで、エノキダケなどはとくにその作用が高いといわれている。

シイタケは、椎やクヌギなどの木材や、おが屑を利用して栽培されている。

このような木材には、リグニンと呼ばれる食物繊維が多く含まれており、これがシイタケの中に取り込まれるのである。

このリグニンにもガン予防の働きのあることが知られている。

シイタケを栽培した後の木材が、最後にはすかすかになってしまうのは、木材の主成分がシイタケに取られてしまう証拠である。